薬剤師の年収が少なすぎる。増えない理由とアップ方法。

薬剤師の年収が少ないという知りたくない事実

国家資格を持つ薬剤師。大学入試の偏差値は高く、現在では六年制となり、受験勉強が終わっても他の学部より2年も長く勉強しなくてはなりません。そして国家試験。当然、年収は高いものだと信じて疑わなかったのに、期待したほど高くない現実を知り始めるのは大学2年生あたりではないでしょうか。

頭の中では、大して勉強の苦労もせずに企業に勤めた友人の方が高い収入を得てそうだと、うすうす気づきながらもプライドが邪魔をして現実から目をそらしている薬剤師は少なくありません。

ここでは一般企業の年収をご紹介したうえで、いかに薬剤師の年収が低いかを示し、即効性のある収入アップの方法をご説明いたします。

薬剤師の平均年収

一般企業の年収

国税庁が平成28年に実施した「民間給与実態統計調査」では、日本人の平均年収は422万円と発表されました。また、平成28年度国家公務員給与等実態調査によると、公務員の平均年収は633万円となっています。

では一般企業を見てみましょう。 図は、『会社四季報』(東洋経済新報社)の2016年春号に掲載された有名企業の平均年収です。有名な会社ばかりですが、一千万円台半ばから二千万円です。しかも、その年齢は30代。キーエンスは大学などの研究機関向けに科学測定機器を販売していますから、薬剤師ならなじみがある会社ではないでしょうか。


薬剤師以外の平均年収

いかがでしょう。日本経済がバブル崩壊とリーマンショックから立ち直り、日経平均株価が2万円を超えたことから、給与はかなり上がっているのではないかとは感じていたものの、ここまで高くなっているとは知らなかったのではありませんか? これが日本のサラリーマンの年収です。

日本人の平均年収と比較して、桁違いに高く見えるのは、日本人の平均収入には年収100万円ほどの一次産業のひとやアルバイトのひとも含まれているからです。

国家資格での平均年収

薬剤師の国家資格の価値

国家資格にもいろいろありますが、代表的な資格では

文系の国家資格
 1位:司法試験 年収1,094万円
 2位:公認会計士 年収717万円
 3位:税理士 年収717万円
 4位:弁理士 年収654万円
 5位:司法書士 年収588万円

医療系の国家資格
 医師: 年収1,098万円
 保健師: 年収476万円
 看護師: 年収519万円
 助産師: 年収449万円

となっています。こうして見ると、医療系ではダントツに高い医師の年収も、世間一般では最早それほど高いわけではないことがわかります。この理由は勤務医の比率が増えたためです。医療機器の発展により、MRIなど高価な診断装置が普及し、個人病院と巨大施設では勝負にならない時代となりました。その結果、莫大な設備投資が必要になり、個人で開業する医師が減り、給与で雇われる医師がほとんどとなったことにより、医師の平均年収はこの程度に収まってしまっています。

 

薬剤師の平均年収

さて、ご自分の現在の年収と比較して、他の業種の年収は、想像を超えた金額だったのではないでしょうか。

昨年度、平成29年の薬剤師の平均年収は586万円でした。

この数字を見ていかが思われましたでしょうか。ご自分の年収が薬剤師の平均年収より高いと胸を撫でおろしている場合ではありません。公務員より低く、一般企業と較べてしまうと半額以下です。

薬剤師の場合、圧倒的に女性が多く、日本の女性の平均年収は380万円(2017年)であるために、女性同士だと高く感じられて優越感を得ることもあるかと思いますが、職業として比較すると、薬剤師の年収は圧倒的に他業種より低いのが実態なのです。

薬剤師の年収が少ない理由の一つが、女性が多い職業であることと言われています。女性の場合、結婚、出産、子育てなど、長くキャリアを続けずに引退してしまうことや、フルタイムでは働きにくい時期があるため、重要なポジションにつくまでに十分な経験を積むことが難しいと考えられています。東京医科大学で問題になった女子受験生への不利な減点は大きくマスコミで取り上げられました。この際、医師でもある西川史子氏が、医師の職業において女性には難しいケースもあるからいたしかたないと発言したことは大きな波紋を呼びました。

もちろん薬剤師には男性もいますが、その大多数は圧倒的に女性です。看護師と同様に、薬剤師は女性をベースにして考えられてるため、年収が少なく設定されているわけです。

年代別に見た薬剤師の平均収入

平成29年の調査によると、各年齢層での薬剤師の平均年収は以下のようになっています。

  • 20歳代前半:473万円
  • 20歳代後半:477万円
  • 30歳代前半:514万円
  • 30歳代後半:530万円
  • 40歳代前半:590万円
  • 40歳代後半:672万円
  • 50歳代前半:732万円
  • 50歳代後半:730万円
  • 60歳代前半:606万円

20才代はほとんど年収は増えませんが、30歳代に入ると少しづつ増え始め、50歳代で頭打ちになります。50歳代の後半に入ると年収は徐々に下がる傾向にあります。ボーナスは平均で4.0カ月。20代ではそれほど大きくない収入差は、40代に入ると大きくなり、最小と最大では160万円を超えます。これが同じ薬剤師の中でも発生する年収差です。

年齢別に見る薬剤師の平均年収

男女別での薬剤師の年収

平成29年の調査によると薬剤師の年収での男女差はこのようになっています。

性別 平均年収 平均月額給与 ボーナス
男性の平均年収 721.4万円 45.4万円 125.7万円
女性の平均年収 544.3万円 34.3万円 156.5万円

やはり年収としては男性の方が多く、女性は約180万円安い状況です。ただし、これは自営業でなくどこかに所属して働くうえではごくありふれた男女差なので、特に薬剤師に限った話ではありません。

 

役職別に見る薬剤師の平均収入

調剤薬局、製薬会社、ドラックストアなど形態によって、職種の分け方は異なりますが、一般的にはポスト別の年収はこのようになっています。

ポスト 年収 月額給与 ボーナス
管理薬剤師 502.8万円 31万円 125.7万円
認定薬剤師 625.8万円 39万円 156.5万円
専門薬剤師 625.8万円 39万円 156.5万円
病院薬局長 827.0万円 52万円 206.7万円
課長・部長 914.2万円 57万円 228.5万円

いわゆる管理職になると、一般の企業と同様に年収は大きく跳ね上がります。これまで見てきた、年代別や性別の年収差などあっさりと飲み込んでしまう上がり具合です。つまり、こういった管理職としてのポストが用意されているかいないかが年収アップのうえで大きなカギとなるわけです。ここは大きなチェックポイントですから頭においておいてください。

 

業態別での薬剤師の年収

薬剤師の場合、大きく分けて製薬会社、病院、調剤薬局、ドラッグストアの4つの業態があり、各業態での平均年収はこのようになっています。

順位 薬剤師の職場 推定年収 ボーナス
1位 製薬会社 650万円 125.7万円
2位 病院 575万円 156.5万円
3位 調剤薬局 550万円 156.5万円
4位 ドラックストア 400万円 206.7万円

やはり製薬会社が一番高く、ドラッグストアが一番安い結果となっており、その年収差は約1.5倍にもなります。この平均年収は役職や男女差を含んだ全体の数字となっていますから、ドラッグストアが低いのは、女性が多く、管理職のポストもあまり無いことを反映していると言えます。

地域別での薬剤師の平均年収

1都1道2府43県を見ると、地域によって薬剤師の年収は大きく異なります。1位は東京で910.8万円、最下位は沖縄で520.5万円です。ここで、「あれっ?」と思われた方も多いのではないでしょうか。前半で薬剤師の年収は586万円だと申し上げましたが、東京は5割増し以上に高いのです。一方、意外に気づかれていないのが、埼玉県は580万円で28位となっており、ここに大きな差が発生しています。

順位 都道府県 平均年収
1 東京 910.8万円
2 大阪 780.7万円
3 神奈川 715.7万円
4 愛知 715.7万円
5 宮城 650.6万円
6 茨城 650.6万円
7 栃木 650.6万円
8 群馬 650.6万円
9 千葉 650.6万円
10 石川 650.6万円
11 福井 650.6万円
12 長野 650.6万円
13 静岡 650.6万円
14 三重 650.6万円
15 滋賀 650.6万円
16 京都 650.6万円
17 兵庫 650.6万円
18 奈良 650.6万円
19 岡山 650.6万円
20 広島 650.6万円
21 山口 650.6万円
22 徳島 650.6万円
23 福岡 650.6万円
24 岩手 605.1万円
25 山形 598.6万円
26 北海道 585.5万円
27 福島 585.5万円
28 埼玉 585.5万円
29 新潟 585.5万円
30 富山 585.5万円
31 山梨 585.5万円
32 岐阜 585.5万円
33 和歌山 585.5万円
34 鳥取 585.5万円
35 島根 585.5万円
36 香川 585.5万円
37 愛媛 585.5万円
38 高知 585.5万円
39 長崎 585.5万円
40 熊本 585.5万円
41 大分 585.5万円
42 鹿児島 585.5万円
43 青森 553.0万円
44 秋田 533.5万円
45 佐賀 520.5万円
46 宮崎 520.5万円
47 沖縄 520.5万円

 

同じ薬剤師でも大きな年収差

このように見てくると、薬剤師の平均年収は586万円と言いながらも、実は上と下で大きな開きがあることがお分かりになったかと思います。

年収が大きな要因を拾っていくと

  • 製薬会社勤務
  • 40歳代
  • 男性
  • 東京勤務
  • 管理職

となりますね。実際、この条件に当てはまる薬剤師では年収2千万円オーバーの方も数多くいらっしゃいます。いかがでしょう、あなたは損な組み合わせになっていませんか?

もちろん、性別や年齢など、変えられないファクターもありますが、ここで知っておいていただきたいのは、製薬会社だと高いとか、東京じゃないと安くなるということではありません。大事なのは、「年収などの条件が良い求人が薬剤師にはある」と言うことです。