プロジェクトについて

 
患者図書室の意義と役割 
 
1. 病気になった時、どうすれば良いかの準備は誰にとっても難しいことです
私達は普通の買い物をするときは、良く選んで買っています。しかし、自分の命に関わることなのに、病気になったときにどうするかについて、あらかじめ準備することは、なぜかとても難しいことです。
そして、いざ病気になると、どこで、どのような医療を受けて良いのか、ほとんど知らないことに気がつきます。
 
2. 説明に対するニードは増大しつつあります
医療は日進月歩です。医療従事者は最先端の診療を行おうとするので、その説明をしなければなりません。しかし、患者さんやご家族がそれを理解するには基礎的な知識が必要です。ですから、医療情報に対するニードは、ますます大きくなりつつあります。
 
3. 社会と医療の間に文化摩擦が起こりつつあります
医学・医療技術は、多くの病気を克服してきました。多くの病気が治るようになると、人々の間に、「病気とは治って当然である」という誤解が広がってきました。
医が単に「修繕の技術」と考えられるようになると、良い結果が得られなければ不満が生じることになるでしょう。近年は、摩擦を起こす要因が患者さんの側にも育ちつつあります。
 
4. 情報を得ること、健康教育を受けることは、患者さんとご家族の権利です
世界中の医師たちは、このような状況に対応しようとしてきました。
世界医師会は、1981年リスボンにおいて、患者さん が医療を受ける際の権利を宣言しました。
この宣言は、その後も改定が続けられ、患者さんが十分な説明を受ける権利、自己決定の権利、健康教育を受ける権利のほか、患者さんが医療を受ける際の基本的な権利が明確に宣言されています。
今や、医療においては侵襲の大きな検査や手術などに関する「説明と意(インフォームド・コンセント)」は定着しました。
最近はパス法が普及して、診療の全プロセスについて説明がなされるようになりつつあります。
パスの中には時間の経過とともに達成すべき目標が記されていますので、医療従事者とともに、患者さんも目標達成に向かって努力をすることができるようになりました。
 
5. 自分の病気や医療について患者さんやご家族も自ら学ぶことで、医療従事者との
コミュニケーションが向上します
一方、私たちの社会資源の中で、医療に回せる資源制約がだんだん厳しくなっています。医療も質の向上だけではなく、効率化が求められています。
医療従事者は厳しい時間の制約の中で働いています。ですから、患者さんやご家族と医療従事者の間のコミュニケーションも、その質が重要であることはもちろんですが、効率的であることも求められています。つまり、患者さんやご家族にも自ら学ぶ努力が望まれています。
 
6. 患者さんは、重要な「医療資源」です
特に、慢性の病気の場合には、患者さんやご家族は病気を日常生活の中で管理する管理者ですから、その管理の質の向上がとりもなおさず医療の質の向上となります。
患者さんやご家族は、医療サービスの単なる消費者であるだけではなく、医療資源の制約が厳しくなった昨今においては、病気の管理者として重要な資源であるという、前向きな見方が必要でしょう。
「NPO医療の質に関する研究会」は、そのような協働の作業を促すために、医療施設に「患者図書室」を設置する活動を行なっています。
また、その目標を達成するために、諸々の新たな図書室機能の研究・開発を進めています。


 
7. NPO質研は「協働の医療」を推進しようとしています
患者中心主義は重要です。しかし、若干父権主義が残っているように思います。
我々は、医療は医療従事者と患者さんやご家族が病気を克服するための「協働」の作業だと考えます。
 
8. 患者図書室は、そのための場であり、機能です
これまでの医療システムの中には、患者さんやご家族が自ら学ぶための明確で具体的な仕組みが欠けていました。
公立図書館を充実させるのも一つの方法ですが、移動がままならない患者さんにとっては遠すぎたり、不便だったりすることもあるでしょう。
「患者図書室」が病院や診療所の中にあれば、医師や看護師が患者さんやご家族の方々に読んだり見たりしてほしい資料を備えておくこともできます。
パソコンがあってインターネットにつながれば、今や世界中の医療情報を得ることも可能です。
医師は医学・医療技術のエキスパートですが、患者さんは病を持って生活することのエキスパートになれるのです。
「患者図書室」は、患者さんと家族同士が励ましあい、経験を交流する場になる可能性もあるでしょう。
 
医療の質に関する研究会
 
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