転職で派遣が選ばれる傾向が高くなった理由 | 薬剤師求人・転職サイトの比較【２０２３年５月最新ランキング】

派遣が選ばれる傾向が高くなった理由

派遣が正社員より選ばれるトレンド

日本では転職どころか終身雇用を前提とした社会が成り立っていましたが、平成に入ったあたりから派遣という働き方が台頭し、現在ではどこの企業でも転職を取るより、派遣社員を使っています。給与や福利厚生面で不利と思われる派遣社員ですが、現在では正社員に転職するよりも派遣社員の道を選ぶ人が数多くいます。ここでは派遣社員が台頭した原因と、転職で派遣を選ぶ人が多くなった理由を解説します。

１．転職業界に派遣が生まれたのはバブル崩壊がきっかけ

日本経済は戦後、右肩上がりに成長し、１９８０年代が絶頂期だったと言えます。日経平均株価は３万円を超え、お金がお金を産み、値段が高いことが良いものの証といった風潮があったほどです。有名な話では平成元年に日本IBMは２千人もの新入社員を取りました。転職も一番盛んだった時期だったと言えます。しかし、実体経済が露見され、不良債権の回収に金融機関が動いたとたん、バブル経済は崩壊し、企業の新入社員は激減し、東証一部上場企業ですら２～３年間、転職どころか新入社員をひとりも採用しなかった企業があったほど強烈な就職・転職氷河期を迎えます。多くの新卒が就職できずにアルバイトに行かざるを得ない、一方、一年を通して、閑散期と繁忙期が激しい企業では、固定費となる正社員の経費を変動費化させる一時的な社員を求めるようになりました。しかし、社員教育もされておらず、お客の前に出すレベルではないアルバイトを雇うわけにはいきません。一方、転職で採用したのでは即戦力にはなるものの固定費が増えてしまいます。そこで出て来たのが派遣社員です。派遣社員は会社に帰属しているため、一般の正社員同様の教育を受けており、レベルが低ければ、クレームをつけることもできる上、派遣される社員のランクによって給料を契約できるため、必要な時に必要なレベルの人材を使うことができます。このようにして生まれた日本の派遣社員の業界は、今ではレベルによって会社が選ばれるようになったため、企業の教育も厳しくなり、より品質の高い人材を産み出す構造となっています。

２．転職で派遣が選ばれる理由

バブル崩壊とリーマンショックにより、日本の年功序列の賃金体系は完全に崩壊し、職位が上がれば上がるほど仕事がきつくなるようになりました。昭和の時代では、社長になったらまず「おめでとう」と言われたものが、現在では「大変なことになったね」と言われるようになっています。また、重役クラスの代名詞であった運転手付き社用車も、現在では社長とごく一部の上級役員しか与えられなくなりました。こういった中で、転職しても出世したくないという風潮が広まるようになり、正社員であることの優位性は薄れていってしまう結果となり、一方、転職して派遣になると、契約に基づいた労働時間と収入になり、やることさえやっていれば、転職と違って責任が押し付けられることもありません。収入は低いものの、労働時間が決まっており、責任も発生しない派遣に転職する人が増えた理由はここにあります。収入は労働の対価であり、会社に対する忠誠心など持ちたくない層が増えた社会現象が、転職で派遣を選ぶ人が増えた背景にあります。

３．転職で派遣を選ぶ人は勝ち組かもしれない

アベノミックスで多くの企業が立ち直ったものの、まだ社員への給与に還元するところまでは至っておらず、一方、年功序列の賃金形態は完全に崩壊し、上に行けばいくほど多忙になる社会は今後もこの傾向が続いていくものと見られています。しかし、転職で派遣になってしまえば、出世はないものの、契約であるために、繁忙期の残業代はしっかり支払われるし、無茶な労働を強いられることはありません。転職と異なり、保有するスキルによってクラス分けされ、賃金が決まるため、ある意味、頑張ればそれだけ給料として跳ね返ってきます。また不況時の賃金カットも派遣なら影響しませんん。このまま正社員の待遇が良くならないようであれば、転職で派遣を選んだ人が結果として勝ち組になる可能性すらあります。