ドラッグストア2社とファミリーマートが薬局一体型コンビニの展開を開始
ファミリーマートが、調剤薬局やドラッグストアを展開するファーマライズホールディングスとヒグチ産業の2社と合弁会社を設立した。薬剤師としては青天の霹靂というか、コンビニの店員と薬剤師の協業というのは腹に落ちてこないだろう。この「薬ヒグチ&ファーマライズ」は、ファーマライズHDが55・1%、ヒグチ産業が30%、ファミリーマートが14・9%出資している。さらにヒグチ産業が展開するドラッグストア事業はこの薬局一体型コンビニ企業に移管されてしまった。なぜ、ヒグチは薬局一体型コンビニに全チェーン店を投下する決断を下したのか。そこには収益の拡大に焦点を合わせたコンビニと薬局の思惑があった。
新たな収益源を模索し続けるコンビニ
薬剤師の視点ではなく、一般消費者の視点で見るとわかるように、日用品を発端に始まったコンビニは多くの他業種を吸収して成長を維持してきた。チケット販売、収納代行、宅配受付、弁当屋、おでん屋。最近ではスターバックスの業態を吸収したドリップコーヒーの販売や、明らかにミスタードーナッツをまねたドーナツ販売も目につく。このように薬局に限らず、コンビニは多くの業種の収益性の高い部分だけを取り入れて変貌し、成長を遂げている。タバコ屋のように廃業に追い込まれてしまった業種の少なくない。その店舗数はいまもなお増え続けており、2015年は主要10社だけでついに5万店舗を越えてしまった。しかし、その一方で明らかに飽和状態に陥り、一店舗当たりの売り上げはじり貧状態にある。特に都市部では50mおきにコンビニがあるという乱立状態のため、生き残る上では他店から客を奪う強力な収益源が必要な状態に立たされていた。
薬以外の商品を求めている薬局
薬局の悩みの種は他の商品を扱いにくいという点にある。マツモトキヨシやサンドラッグのような大手ドラッグストアですら、化粧品に手を出すのが精いっぱいで、一般の調剤薬局では健康食品やおむつなどを店頭に並べてはいるものの薬局で買う客はほとんどいない。それは、処方箋に書かれた薬を薬剤師から受け取る場所としての薬局のイメージが強いため、目の前に陳列された商品が目に入っていないためである。たとえば薬局で薬剤師から薬を受け取るカウンターにおでんが置いてあったらどうだろう。あなたは買うだろうか?むしろ、奇妙さに気を悪くして他の薬局に行ってしまうに違いない。つまり、現在の薬局のイメージでは大きな商品展開は望めず現状維持しかできないジレンマがあったのである。
薬局とコンビニの融合における勝算
実は薬局一体型コンビニは実験的なものではなく、すでに成功への布石が打たれている。それがDHCをはじめとしたサプリメントだ。すでにサプリメントの流通ルートにおいてコンビニは大きな存在となっており、消費者は本来薬局のテリトリーであるサプリメントをコンビニで購入することになんら不自然さを感じていない。つまりコンビニには薬局事業に乗り込む上で充分な勝算を持っているのである。一方、薬局は数々の商品展開でことごとく失敗しており、手も足も出ない達磨状態から脱却できずにいる。ここにヒグチが全チェーン店を薬局一体型コンビニへ併合する決断に至った理由がある。ヒグチは遅かれ早かれ、薬局はコンビニに飲み込まれると読んだのだ。それであれば、合併し生き残った方が勝ちだと読んだのだ。コンビニの動きは非常に早く、例えばローソンが郵便の窓口として定着するのに3年とかからなかった。タバコの販売においてはタスポの導入により一年も経たずに自販機を駆逐してしまった。特にファミリーマートは伊藤忠という巨大商社をバックボーンに持っているため、法的規制のある事業の取り込みに強みを持っている。代表的な例はゆうちょATMの導入だろう。
今後の動きが注目される薬局一体型コンビニ
今回のファミリーマートの動きを最大手であるセブンイレブンやローソンが見ていないはずはない。おそらく、ヒグチ以外の薬局チェーン店と水面下で動きはじめているだろう。今後、薬局一体型コンビニはどうなっていくのか、そして薬局ごと薬剤師はコンビニに飲み込まれてしまうのか。薬剤師と薬局の将来像に向けて大手の動きが注目されるところである。
<参考>日本薬剤師協会
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