薬剤師だけでなく患者にとっても便利に進化してきたお薬手帳
それまで薬剤師が薬局に来る患者に対して、お薬手帳は無償であることをアピールしてきたもののなかなか広まりませんでしたが、東日本大震災をきっかけに一気にお薬手帳を使う利用客が増えました。これは掛かりつけの病院や薬局がなんらかの理由で使えなくなった場合、自分でもどんな薬をどれだけの量服用してきたか覚えていないという事態が大きく報道されたことによります。高度に高齢化した現在の社会では、大多数の人が常用薬をもっており、またその一方、その常用薬に行きつくまでに、他の薬は体に合わなかったという記録が必要です。しかし、これらのデータは通っている病院や薬局にはあるものの、公的サーバーにアップされているものではなく、あくまで病院や薬局のローカルデータでしかないため、他の施設に変えるときは、お薬手帳くらいしか薬剤師に服用歴を示す手段がありませんでした。
1.薬剤師の努力でようやく定着したお薬手帳
お薬手帳の制度はかなり昔からあったものの、なかなか利用する人は増えませんでした。この大きな理由は、そもそもお薬手帳の存在を知らない人が多かったためです。この状況を打開すべく、薬剤師は患者に接する際に「お薬手帳はお持ちですか?」と尋ねるよう啓蒙活動を続け、ようやく万人がその存在を知るようになったのはここ10年ほど前の話です。もちろん、無料ですよ、といいう薬剤師の言葉も刷り込まれていたのも大きな要因でしょう。そして、東日本大震災。多くの人が掛かりつけの病院や薬局を失ったときの危機感を感じるようになり、薬剤師から説明されていた無料のお薬手帳を思い出し、一気に多くの人が利用するようになりました。薬剤師の努力が開花したときです。
2.薬剤師協会によるお薬手帳のスマートフォン化
このように薬剤師の努力が実って多くの人が利用するようになったお薬手帳ですが、大きな弱点がありました。それはページ数です。お薬手帳は紙媒体であるため、ページ数に限りがあり、使い切ってしまうと新品に変えてしまうため、過去の履歴がわからないという弱点がありました。また、紛失によってせっかくの記載内容がわからなくなってしまうことも頻発しました。そこで登場したのが、お薬手帳のスマートフォン版です。日薬eお薬手帳と言われるものです。これによって、服用履歴はスマートフォンのメモリーに格納されるため、事実上、ページ数の製薬が無くなり、また日常携帯しているスマートフォンであるため、紛失も無くなっていく見込みが立ちました。
3.薬剤師の声で進化していくお薬手帳
このように進化したスマートフォン版のお薬手帳にもまだ弱点があります。それは事故や意識不明状態で本人がスマートフォンのお薬手帳を操作できないとき、救急車で運ばれてきても、薬剤師がどんな薬を処方してきたか照会できないという点です。まだインフラは整っていませんが、さらに進化して日本薬剤師協会のサーバーにデータをアップロードしておく仕組みがいずれできるでしょう。そうすれば本人に意識が無くても、医師や薬剤師は処方履歴を検索できるようになります。実現するには、インフラだけでなく、個人情報の保護におけるセキュリティーなど課題は多くあるので、実現まではまだ何年かかかりそうです。
<参考>日本薬剤師協会
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