薬剤師の年収における本質
薬剤師の転職では年収アップが大きなポイントとされることが多いものの、実態は必ずしも本当の意味での年収が見られていません。ここでは、見るべき年収の本質と年収のアップ方法について解説します。
薬剤師の年収
薬剤師の平均年収は510万円であると言われています。ただし、これは全薬剤師の年収を単純に平均した金額であり、薬剤師によって大きな幅があります。一部上場企業などの大企業だと500万円ですが、中規模企業だと470万円に下がります。一方、個人経営の薬局や小規模企業だと540万円くらいのようです。この年収は、薬剤師になるためには6年の教育期間を経て国家試験を通らなくてはならないことを考えると、決して高い数字だとは言えません。むしろ苦労して薬剤師になったものの一般企業のサラリーマンと大して変わらないことを考えると安過ぎると言えます。病院薬剤師の場合、薬剤部長にでもならない限り、年収は400万円台で頭打ちになってしまうケースもあります。このように薬剤師の年収が低い原因は国の医療制度にあります。日本では健康保険が発達しており、患者の負担は3割で、残り7割は国が負担する仕組みとなっています。つまり、薬剤師の年収の源泉は医師や看護師と同じ財布から支払われている仕組みとなっているわけです。高度高齢化に伴いさまざまな医療費削減施策が打たれているものの、国の医療費は膨張を続けており、健康保険で支払う負担の分配を変更して抑制している状態です。つまり、医療において不可欠である医師が優先され、次に看護師、そして薬剤師という優先順位をつけられてしまうため、薬剤師など優先順位を低く見られている職種への配分が削られている結果が薬剤師の年収の低さの原因です。
薬剤師の職種による年収の違い
薬剤師の年収を考える時、薬剤師として勤務年数を重ねていく中での伸びを考慮する必要があります。一番低いのは大手の調剤薬局チェーンでの薬剤師であり、規模の小さな調剤薬局の方が薬剤師が不足しているために年収が高く設定されている場合が多いようです。次がドラッグストアで店長になれば年収で700万円くらいになります。ドラッグストアの薬剤師とほぼ互角か少し上になるのが病院薬剤師で着実に勤務していれば年収は800万円くらいにまで行くこともあります。ここで伸びを考える必要があるといったのは実は伸びしろで考えると製薬会社が一番高く1000万円を超えるケースが多いものの、サラリーマンですから最初は300万円程度から始まります。営業職の色が濃いMRの業務は体力的に負荷は大きいものの、30代で1000万円超えも珍しくありません。ただし、営業ですから薬剤師と言えども営業成績で年収が決まるため、年収は実力次第と言えるでしょう。このように薬剤師には大きく分けて4つの職種があり、年収アップのためにこの4つの職種をステップ的に渡り歩くことで、体力があるうちはガンガン稼げる領域での薬剤師として働き、体力の衰えと共に負荷の少ない職種へのステップを踏む薬剤師あ多いようです。
薬剤師が考えておくべき生涯賃金
薬剤師として業務を行う上で家族を持つとおのずと将来を考えるようになります。ここで簡単に最低掛かる費用を考えてみましょう。
子供を育てるのにひとり1000万円かかると言われています。二人いれば2,000万円ですね。
次に家ですが、小さ目のマンションでも3,000万円はかかります。
車を5年ごとに新車に乗り換えれば、2,000万円。
この穂に生命保険、固定資産税、駐車料、マンションの修繕積立金などなどが年間100万円かかりますから、30年で3,000万円。
そして大事な食費や日用品などの一般生活費が最低でも年間100万円ですから、30年で3,000万円。
もちろん、旅行に行ったり、冠婚葬祭など他にも出費はありますが、これだけ考えても生涯賃金として1億3千万円は最低必要となります。30年で割ると470万円。これだけ手取りで必要となるわけです。つまり、普通に薬剤師として働いていたのでは共働きでもしない限り、薬剤師の平均年収ではギリギリの生活が一生続いた揚句に、不自由な年金生活に突入することになります。
一方、これらのことを考えて、効率の良い働き方として、時給の良いパート薬剤師を選ぶ薬剤師もいますが、これは生涯賃金を考えた場合、実は損な働き方です。正社員ではありませんから国民保健や年金は自分で支払わなければなりません。薬剤師は年収という形で支払われる金額は少ないものの、保健や年金は会社が負担敷いているため、パートの薬剤師と正社員の薬剤師では、これだけで年間100万円以上の差がでます。さらにパート薬剤師にはボーナスがありません。これも年間150万円の差になります。これらを30年で考えると、少ないとはいえ、正社員の薬剤師はパート薬剤師より、7500万円もの収入を多く得ることになります。さらにパート薬剤師にはないもので正社員の薬剤師にはあるのが退職金です。これがだいたい3,000万円。合わせるともう1億円を超えますね。ここで気をつけなくてはならないのは、退職金は勤続年数で決まるということです。一見、いいように見える薬剤師の転職も勤続年数をリセットすることとなってしまうので要注意です。退職金は10年くらい勤めたのでは大した金額にはならず、20年を超えたあたりから大きく伸びます。生涯賃金を考えるとひとつのところで正社員として長く務めることが一番有利だという結論になります。
まとめ
薬剤師には4つの職種により年収差が大きく、年収アップのために年齢によってステップ的に変わることも考えらます。また正社員の薬剤師ではなくパート薬剤師という働き方もあります。しかしながら、生涯賃金の観点から見ると、薬剤師の年収は余裕のある年収ではなく、パート薬剤師の場合、生涯賃金で1億円ほどの損失となってしまいます。また退職金の面から考えると、4つの職種をステップすることは退職金の大きな減少を招いてしまいます。薬剤師として一生働き続ける上では、目先の年収アップよりも、生涯賃金を考え、いま間違った働き方をしていると思ったら、早めに修正することが必要です。
<参考>日本薬剤師協会
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